コンプレックスは解放するもの
「すごくいいクセです。僕は大好きです」
美容師さんに初めてそう言われたとき、
目からウロコだった。
私はものすごいくせ毛で、
放っておくと井上陽水、もしくはちびまる子ちゃんのお母さんみたいになる。
小さな時は、
「かわいいね~」「外国のお人形みたいな髪だね」
と言われることもあり、何も問題だと思っていなかった。
でも、中学に入って周りがサラサラの髪の女子ばかりになったり、
「くせ毛は欠点」みたいなメッセージをテレビや雑誌で見るにつれ、
くせ毛=押さえつけたい、直したい、隠したいもの
になっていった。
美容院でも、
「このクセは厄介だね~。大変でしょ」
と同情されたり、
「パーマかける必要なくていいね」
と肯定的に言われても、
「…でも、ここの部分が特にクセ強くて扱いが難しいよね」
と言われたりしてきた。
今通っている美容院は、
くせ毛を生かすためのイタリア発祥のカットをしてくれるところ。
イタリア人はクセが強い人が多いので、くせ毛をうまく生かす技術が発展したのだとか。
あえて、クセが全面に出るような切り方をする。
だけど、不思議とまとまる。
クセを解放しているのに、
うまくコントロールできる状態になるのだ。
この美容院で生まれて初めて、
自分のクセを全面的に肯定された。
ずっと、受け入れていると思っていたけど、
心のどこかで、「…とはいえ、まっすぐな方がいいよね」と思っていたことが覆された。
どれだけ太っていても足やお腹をばーんと出した服装をしてる人
をよく欧米では見かけるけど、
「あんなに太いのによく出せるな…」
と思ってしまうのは、
太い=悪い 細い=良い
と勝手に基準を作って、
「悪いものは見せないようにするもの」
と思い込んでいるから。
外見のことだけじゃなくて、
性格や内面のクセに関しても同じ
なんじゃないかな。
だけど、
自分を居心地悪くしているのは
クセそのものじゃない。
それを隠さなきゃいけないという思考の方なのだ。
その思考を解放することで、
「クセ」を良い方に生かすことができる。
自分そのものが生き生きしてくる。
♪ありの~
ままで~
『アナと雪の女王』で、
何でも凍らせてしまう能力を解放したエルサが
力強く歌っていたように。
あの歌と映画があんなにヒットしたのは、
みんな本当はそうしたい、
そうするのが正しいんじゃないか
と心のどこかで知っているからなんだと思う。
クセを解放したエルサは、それをコントロールできるようになり
みんなのために使えるようになった。
美容師さんに
「このクセは本当にいい、大好きです」
と言われたときに、
どこか氷が溶けたような気がした。
氷を溶かすきっかけを、
つくれる人になりたいと思う。
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